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長引くコロナ禍 生活者のイマに刺さるプロモーションとは?

 

“一般的”な『販促カレンダー』の崩壊

 夏は帰省、秋はレジャー。それまで当たり前だった人流が読めない状況になってはや2年。今年のお盆は、高年齢層へのワクチン接種が進んだことから帰省の増加が予測されましたが、若年の感染急拡大と全国的な悪天候も重なり、「巣ごもりお盆」傾向がより一層強まる結果となりました。
 食に関しては、帰省家族を迎えて大人数で食卓を囲むご馳走よりも、小さい規模で少し手作り+お総菜や、テイクアウト、デリバリーなど予算と時間に合わせて選んで楽しむプチご馳走が主流になったようです。
 コロナ特需の裏年でもある2021年。これまで長年ベースにしてきた販促カレンダーが通用しなくなっている中、直面する「食プロモーションの転換期」は長引きそうです。

ニーズの細分化、パーソナル化への対応

 お盆明けの8月16日。あるショッピングモールの100円ショップにはハロウィーングッズがメイン陳列されていました。通りかかった家族連れからは「早すぎるね」と笑い声が。売り手としては、少しでも季節を先取りして、売り上げアップにつなげたい。わかります。でも、一般の生活者にも、「売り手の都合」が透けて見えてしまっているのです。生活者は、気分感情、そして自分たちの体感と異なるものにはキモチが動かないのです。しかし、一方、先ほどと同じ家族連れが数分後、同じモール内の量販店スイーツ売り場に足を止めていました。同じ人でもハロウィーン・カラーで彩られたスイーツは、「見た目がかわいい、おいしそう」とこちらは好意的。ひとりの中にも同時に様々な受け取り方がある難しさの事例でもあります。
 さて、今年はクリスマスイブが12月24日(金)。平日よりも、時間に追われず過ごせる25日(土)にクリスマスメニューを楽しむ家庭が増えるのではと予測されます。仮にミレニアル世代と定義される26~40歳のファミリー層をターゲットとしましょう。とにかく忙しいワーキングママ、手作りに疲れた子育て真っ最中の方、状況や価値観は様々です。どんなプロモーションが有効でしょうか。
 例えば、雑貨インテリアショップのWEBサイトや店頭でよく見る「コーディネート例」をイメージしてみてください。ナチュラル派にはこの組み合わせ、モノトーン好きのあなたにはこのセット、という提案です。この手法を、クリスマスの食卓提案に取り入れ、好みや予算、調理の所要時間等で選べるセットにして提供するのです。今は、多くの人が「私(わが家)に合うモノ、コト」をSNSなどから最短の手間で見つけようとしています。「時間がなくても子どもたちの記憶に残る思い出の食卓にしたい」「オール手作りはしんどいけれど、手作り“気分”は味わいたい」といったキモチを「セット」という形で見せて潜在顧客にアプローチ。「私のことをわかってくれる役立つ存在」と認知してもらうことにより信頼関係を生み出すのです。徹底した「生活者目線」が、この提案のキモとなります。

商品の後ろにあるストーリーこそ輝きをはなつ

 例えばクリスマスの定番料理、チキン。どこで買っても同じなら、価格で選ぶ人が多いでしょう。しかし、国内で飼育方法や飼料にまでこだわっている生産者が育てた鶏肉なら、一層安心して子どもにも食べさせられる。そしてそれは、〇〇さんというこんな人がこんな風に飼育しているから安心でおいしい、となればなおのこと、このチキンを選ぶ基準が明確になります。
 前述のミレニアル世代は、信頼できる企業を好み、透明性を支持するといわれ、「作り手」の思いをより深く知りたいと考える傾向があります。ですが、生産者やメーカーの方は、自分たちが日々行っていることがあまりにも当たり前すぎて、一般の生活者が知ると「えっ、そうなの?」と驚く事実に気づいておられない場合も少なくありません。生産者・メーカーさんを取材し、商品を料理して食べ、その魅力を見つけて引き出し、プロモーションをデザインする。 生活者がくらしの中で必要としている情報をストーリーで伝えることが求められているのです。
 生活者の「くらし」、その軸となる「食」における課題をつかめるか。とくに長引くコロナ禍における生活者の「今のキモチ」を捉えられるか。ここがプロモーションの成否を分ける大きな分岐点です。