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『丁寧な暮らし』は誰のため?

Instagramには295万件

Instagramで『丁寧な暮らし』をハッシュタグ検索すると295万件がヒット。多くの人が実践もしくは実践したい思いがそこには溢れています。そこで、社内の女性たちに聞いてみました。

『丁寧な暮らし』にどんなイメージがある?料理に時間をかける。野菜は道の駅で買う。フルーツを煮て作るコンポートや干物など凝ったものを手作りする。白湯を飲む。朝ヨガ。天然素材の雑貨が好き。服装はアース系カラーのワンピース。“ひと”でいうと京都大原在住のベニシアさん…。「衣食住へのこだわり、健康・ナチュラル志向」といったキーワードで、そのイメージは広く浸透している様子がうかがえます。

なぜ『丁寧な暮らし』志向が高まった?

2006年に公開された『かもめ食堂』という邦画をご存知でしょうか。北欧が舞台ではありますが、手作りパンや自分で淹れるコーヒー、おにぎりといった「食」のシーンが印象的な作品です。その後、北欧の大手家具メーカーや雑貨ショップの日本上陸なども続き、インテリアやファッションを入り口として北欧ブームが生まれたわけですが、買うことでは得られない手作りの魅力やいわゆる「スローライフ」、自然と向き合う暮らし方に、とくに女性たちの意識が向いたきっかけになったのではないかと考えます。

そして昨年30~40代のワーキングマザーがメインターゲットの女性雑誌『Domani』が、今年の6月には働く30代の大人OLターゲットの『Oggi』が『丁寧な暮らし』を取り上げています。そこで身近な実践方法として紹介されていたのは、花を飾る、香りグッズなど多岐にわたりますが、今現在、花のサブスクアプリ(小さな生花がポストに届く定期便)が多数立ち上がるなど新しいサービスが生まれていることにも注目です。さて、「食」分野はというと、休日は家族でおやつを手作り、すき間時間のティータイム、土鍋でご飯を炊くことなどが提案されていました。電気炊飯器があれば失敗なく炊けるご飯を、わざわざ計量をしっかり行い、火加減に気をつけながら土鍋で炊き上げる。これは、『丁寧な暮らし』の考え方の象徴だと言えるでしょう。

では『丁寧な暮らし』になぜ多くの人が憧れるのか。背景には、「ムダなく効率よく合理的に」が最重要視される時代の中で、生活や気持ちに“余裕”がほしい、という思いの裏返しではないでしょうか。ネットの世界で揶揄されるものではなく、本質的な『丁寧な暮らし』。例えば、一見手作りは、時間や手間がかかってムダに思えるけれど、楽しみや癒しといった自分の心が満たされる。それはムダではなく「きちんと暮らしたい」という、真の意味での豊かさに対するシンプルな憧れだと思うのです。

コロナ禍で生まれた料理意識の変化

まだまだ油断できないコロナ禍。長引くおうち時間の中で、コロナ禍前には『丁寧なくらし』に惹かれていなかった人も、「食」の分野でキモチに変化が起きました。具体的には、家族で一緒に料理する、外食できない分なんちゃって外食メニューを作ってみる、料理することそのものが気分転換になる、といったもの。ファミリー層では、子どもと作るホットプレートメニューのような手間がかからないものと同時に、時間はかかるけれども作ること自体を楽しむお菓子作りへのニーズが高まりました。これはある意味、当人たちが意識しないまま、形を変えた『丁寧な暮らし』を選択していると言えるのではないでしょうか。今、この変化に押し付けではなく寄り添うスタンスで、レシピや食べ方提案などをタイムリーに提供できることが待たれています。

「私軸」を大切に心地よい暮らしへ

冒頭で声を聞いた女性たちからは、『丁寧な暮らし』には憧れるけど、時間のないワーママにはムリ、ズボラな私には続かない、といった声があがりました。働く女性が増え、忙しくてとても丁寧になんてやってられない。家事にゆっくり時間をかけて暮らしを楽しむ余裕はない。だから理想を押し付けられていると感じたり、反発のような思いを抱くのも当たり前だと思います。またSNSの中の『丁寧な暮らし』に違和感を持つのは、それが他の人に見せるために切り取られたものだったり、表面的なファッションとして消費されていると感じるから。

しかし時短・効率の良さを追求する一方で、おうちキャンプや、プラレール回転すし、縁日ごっこに表される家族が楽しめる工夫をしているのも彼女たち。高価な器はなくても100均で揃えた雑貨をうまく使えばいい。時間をかけて作った料理でなくても、レトルト・冷凍食品、デリバリーも使いこなして、おいしくて楽しい時間を生み出せる。自分以外の人が『丁寧な暮らし』かどうかの判定をするのではなく、「私軸」を大切に自分も周りも楽しく心地よくいられるかどうかを大切にする人が増えてきているのではないでしょうか。

私たちルーフは生活者の本音をつかみ、そこに響くプロモーションで「ちょっとやってみようかな」というキモチをそっと後押しできる提案をしていきます。